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2021/10/27
歯周病、麻酔下での歯石取り(スケーリング)、メリットとデメリットを獣医師が解説!
こんにちは、愛知県一宮市のおおい動物病院です!
当院では歯科診療に力を入れていますが、今回の記事では、歯科検診や麻酔下での歯石取り(スケーリング)のメリット・デメリットを詳しくご説明します。
目次
1. 歯のケアってそんなに大切?
2. 気になったらまずは歯科検診へ!
①アドプリットを使用し歯周病菌の量を測定
②歯科用ライトでお口の中の歯石の溜まり具合をチェック
③ご家庭でのオーラルケアの指導
④麻酔下での歯石取り(スケーリング)のご相談
3. おおい動物病院の歯石取り(スケーリング)
1. 歯のケアってそんなに大切?
まずは、わんちゃん・ねこちゃんの歯のケアの重要性について。
なんと、2歳までに80%のわんちゃんが何らかの歯周疾患にかかっているというびっくりするような報告が2019年にされました!特に小型犬種では、歯周疾患にかかるリスクが高いんです。
でも、人間では虫歯の人は多くても、歯石がこびりついてどうしようもないって方、あまり見ませんよね?それもそのはず、犬は虫歯になることはほとんどありませんが、歯石はとーっても付きやすいんです。歯垢が歯に付着するのは24時間以内、この歯垢をそのままにしておくと、唾液の中のミネラルと反応して歯石ができ始めてしまいます。なんと、この期間はたったの3日以内!
人間だと歯垢が歯石に変わるのに1ヶ月くらいかかるそうなので、とっても早いと言えますよね。
この歯石をそのままにしておくと、歯周炎へと進行し、以下のような怖い病気へ発展していきます。
外歯瘻:歯根周囲の骨が溶け、頬に膿が溜まった状態。頰がパンパンに腫れたり、逃げ場のなくなった膿が頬の皮膚に穴を開けてしまうことも。元気や食欲がなくなるくらい、とっても痛いです!
下顎骨折:歯周病菌によって頬の骨が溶けてもろくなり、折れてしまうこと。口が閉じられなくなったり、流動食しか食べられなくなることがあります。
口腔鼻腔瘻:悪くなった歯の根元の骨が溶け、歯根に開いた穴が鼻と通じてしまった状態。膿や血混じりのくしゃみや鼻汁が出続けます。
また、最近では、歯周疾患はお口だけの問題ではなく、心臓・肺・肝臓・腎臓など様々な臓器の病気と関連することもわかってきています。
ただたんに「口の中が汚れていて臭いだけ」の問題なら、最悪放置でもいいかもしれません。しかし歯周炎は、「持続的で慢性的な感染症」なんです!いうなれば、口の中でどんどん菌が増え、ずっと炎症を起こしている状態……。
ご経験があるかどうかわかりませんが(ないことを願っておりますが)、わんちゃんやねこちゃんに噛まれた傷って菌が増えるので、ただの切り傷に比べてとっても赤くなるし、もんのすごい痛い!!菌が増えるって痛いんですよ……(泣)。
歯石がいっぱいついて、歯茎が赤く腫れている歯周炎のわんちゃんやねこちゃんのお口でも、同じことが起こっています。放置せず、なんとかしてあげましょう!
2. 気になったらまずは歯科検診へ!
わんちゃん・ねこちゃんのお口が気になったら、まずは動物病院でお口の状態をチェックしてもらいましょう! できれば歯に詳しい先生がいて、おうちでのデンタルケアの指導や、その後の麻酔下での歯石取り(スケーリング)をしっかり行ってもらえる病院を選ぶといいですね。
ここでは、おおい動物病院での歯科検診の流れを説明します。
①アドプリットを使用し歯周病菌の量を測定
②歯科用ライトでお口の中の歯石の溜まり具合をチェック
③ご家庭でのオーラルケアの指導
④麻酔下での歯石取り(スケーリング)のご相談
では当院の看板犬、シェットランドシープドッグのオグトくんをモデルに、歯科検診の流れを見ていきましょう。
①アドプリットを使用し歯周病菌の量を測定
当院では、アドプリットというキットを使用して、歯周病菌の量を測っています。
測り方は簡単、スポンジが先についたスティックで歯の表面を拭うだけ。わんちゃん・ねこちゃんに痛みはありません。(お口の中を見せてくれない子は難しいですが!)
歯周病菌は嫌気性菌といって、酸素が大嫌い! 歯と歯茎の間や、たまった歯石の内側で増えていきます。歯茎を狙ってスポンジをゴシゴシ。
テストプレートに押し当て、反応液をたらして待つこと13分……
真っ赤に染まってしまいました! オグトくんのオーラルチェックの結果は、残念ながら「5」。見た目にはそこまで汚れていないように見えても、歯周病菌が口の中でしっかり増えてしまっている状態です。
②歯科用ライトでお口の中の歯石の溜まり具合をチェック
アドプリットの結果を待っている間に、特別な歯科用ライトで歯石を光らせ、オーナーさまと一緒に確認します。
濃いピンクに光っているのが歯石です。特に矢印で指し示した第4前臼歯に付着しています。お分かりいただけますでしょうか? どんな子でも、この第4前臼歯には歯石がつきやすいので、おうちでケアする時も気をつけてあげてください!
③ご家庭でのオーラルケアの指導
当院では、歯科検診の際、ご家庭でのオーラルケアについてもお話ししています。
はじめにも書いた通り、わんちゃんの歯石はとってもつきやすいです。「トリミングサロンで歯みがきをお願いしています」というオーナーさまもいらっしゃいますが、3日あれば歯石がついてしまうわんちゃんが、月に1回歯を磨いたとして、どうでしょう? なにもしないよりはマシかもしれませんが、これで歯石の予防効果がある! とは言えないですよね。大事なのは、おうちでの日常のケアなんです。
そしてこれは、動物病院で麻酔をかけてスケーリングといわれる歯石取りをしたあとにも同じことが言えます。放っておいたら、1年も立たずに歯石がついてしまいます。(実は上で紹介したオグトくんも、約1年前にスケーリングを行なっています……。)
ちなみにオグトくんは、歯磨きをしたり、デンタルガムを食べたり、水に混ぜるタイプのオーラルケア製品を使ったりしていましたが、1年でやっぱり歯石はついてしまいました。時々さぼったりしたからですね……。
人間も、歯ブラシ・歯磨き粉・デンタルフロス・マウスウォッシュなど、様々なオーラルケア製品を組み合わせ、当たり前のように毎日習慣としてお口のケアをしていますよね。わんちゃん・ねこちゃんも同じです。いくつかの製品を組み合わせて、日々のケアを習慣として行なっていけると理想的です!
ただし、すでに歯周炎が進行し、重度の歯周病になってしまっている場合は、歯にかなり痛みがあり、お口を触るのも難しいことが多いです。その場合は無理やり歯ブラシなどを使うのではなく、まずは一度動物病院にてスケーリングを行い、必要であれば抜歯をし、お口の中の状態を改善してからご家庭でオーラルケアを開始しましょう!
「うちの子は絶対に歯磨きなんてさせてくれない!」という方には、水に混ぜて飲ませるタイプのものや、おいしい味がついている歯みがきペースト、デンタルガムやデンタルスナックがおすすめです。こちらのページでもデンタルケアグッズをご紹介しておりますので、気になる方は見てみてください!
④麻酔下での歯石取り(スケーリング)のご相談
最後に、歯周病菌のスコアや歯の状態を見て、必要であれば麻酔下での処置をご提案します。「歯科検診を受けたら絶対にスケーリングしなきゃいけない!」なんてことは一切ありませんのでご安心ください。
全身麻酔下での歯石取りの処置をすることを、「スケーリング」といいます。 スケーリングでは、歯についてしまった歯垢や歯石を超音波スケーラーを使用して取り除くだけでなく、歯茎と歯の間、つまり歯周病菌が増える場所をしっかりとお掃除していきます。実はこれが歯周病の予防にはとっても大事!たまに「歯を磨いていたら歯石がぽろっと取れてキレイになったから麻酔をかける必要ありませんよね?」「麻酔が怖いので無麻酔で歯石だけ取ってくれませんか?」とのお声をいただきますが、ただ単に歯石を取るだけだと歯茎の隙間にいる歯周病菌はすぐにまた増えてしまいます。ちゃんと歯のケアをしよう!と思ったら、残念ながら麻酔は必須なんです。
また、2019年には、「スケーリングを1年に1回している犬は、していない犬に比べて死亡リスクが約20%低下する」という報告がありました。上のオグトくんを見て、「え、去年もスケーリングしたのに今年ももうしたの?」と思われた方もいたかもしれませんが、この報告を見るとちょっと考えが変わりませんか?
ちなみにわんちゃん・ねこちゃんでは残念ながら入れ歯やインプラントなどはありません。歯周病になって根元の骨も溶け、グラグラになってしまった歯は残っていても痛いだけなので、抜くしかなくなってしまいます。歯を抜いてもご飯を食べることはできますが、「自分の歯で噛んで食べる」という楽しみはなくなってしまいます。
鼻に膿が溜まって穴が開いてしまって初めてことの重大さに気づき、スケーリングや抜歯処置を行う方もまだまだ多いのが現実ですが、そうなってからだと残せる歯はわずかです。子犬の頃からのホームデンタルケアの習慣化、そして若いうちからの病院での歯科検診やスケーリングをうまく組み合わせて、大切なわんちゃん・ねこちゃんの歯を守っていきましょう!
3. おおい動物病院の歯石取り(スケーリング)
おおい動物病院では、スケーリングの際、人間の往診用にも使われている超音波スケーラーを使用しております。犬猫専用のスケーラーと比べるとお高いのですが、とても性能が良いため、抜歯などの処置もスムーズに行うことができます。それにより麻酔時間も短くなるので、わんちゃんやねこちゃんの負担を軽減するのに役立ってくれています!
オグトくんも、スケーリングをして歯がピカピカになりました〜
オグトくんスケーリング BEFORE
スケーリング AFTER
このぐらいの歯石の溜まり具合のときにスケーリングを行うと、麻酔時間も短時間で済み、当然抜歯処置も必要ないので、わんちゃん・ねこちゃんにも負担がかかりません。ひどい子だと歯をほとんど抜くことになるのですが、その場合は頑張っても麻酔時間が3時間を超えてしまうことも……。そういった意味でも、早め早めの定期的な処置が理想的ですね。
また、高齢だったり、基礎疾患があり、他院で「もう麻酔はかけられない」と言われてしまったわんちゃん・ねこちゃんに関しても、是非一度ご相談ください。歯の状態や全身状態を見ながら、最適な治療をご提案させていただきます。
いかがでしたか?
まずは歯科検診だけでもお気軽にお受けください。診察は予約制ですので、こちらからご予約をお願いします!当院に初めてかかられる方にも、丁寧にご説明させていただきます。
また、スケーリングも完全予約制です。手術予約はお電話でのみ受け付けておりますのでご注意ください!
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