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2023/09/12

犬や猫もストレスで体調を崩す!秋に増える台風対策を獣医師が徹底解説!<副院長>

今年はお盆と大型台風が重なり、新幹線も止まるなどいろいろな影響がありました。

当院も、スタッフの安全確保のため、1日だけ臨時休診をいたしました。

 

これから秋にかけて、台風の本格シーズンとなります。

台風による急激な気圧の変化で、偏頭痛や関節炎が悪化するかたもいらっしゃると思います。

犬や猫に詳しい話を聞くことはできませんが、体調が悪化する子が多いのは確かです。

 

今回は、そんな台風対策をまとめてみました。

 

1. 台風によって犬猫も具合が悪くなるの?

2. 台風中に犬猫のために気をつけたい対策

3. 台風に備えて、事前に病院を受診するのもあり!

4. まとめ:ストレス耐性はひとそれぞれ

 

 

1. 台風によって犬猫も具合が悪くなるの?

 

台風の影響で具合が悪くなるわんちゃん、ねこちゃんは意外と多いです。

当院にも台風前後で様々な症状を示すわんちゃん、ねこちゃんが来院しました。

台風だけでなく、来客や、大好きな飼い主の不在、お出かけなども、犬や猫にとっては「ストレス」になることがあります。

「こんなことで?」と思うようなことでも、犬や猫にとっては、「普段の自分の生活パターン」が崩れることは一大事なのです。

台風時期だけでなく、お盆や長期休み期間、正月明けも、体調不良の犬や猫の来院が増えます。

 

わんちゃんの場合は食欲低下、嘔吐、下痢など消化器症状が現れることが多いです。

猫ちゃんは消化器症状が出ないまでも、「ご飯を食べないでじっとしている、元気がない」といった症状が出ることもあります。

「なんとなく体が熱い」といって来院される方もいますね。

夏場や湿度が高い時期は、熱中症も心配ですので、普段と様子が違うな、と思うときは注意するとともに、

普段から犬や猫の様子はよく観察してあげることが大切です。

 

消化器症状のように分かりやすい変化なら良いですが、「なんとなく元気がない」ときにどうするかは悩みどころですよね。

猫は絶食時間が長いと、「肝リピドーシス」という別の病気になってしまうこともあります。

猫で半日以上飲まず食わずの場合は、我慢比べをせず、まずはちゅーるなど、「これなら絶対食べる」というおやつをあげてみましょう。

いろいろ試しても全く何も食べない状態が続く場合は、病院の受診を検討しましょう。

犬の場合も同様です。

猫よりは絶食には強いですが、それでも全く食べないのは心配ですので、同じようにおやつなど好きなものをあげ、元気がなければ病院の受診を検討しましょう。

 

 

2. 台風中に犬猫のために気をつけたい対策

 

 台風は、ある程度予想ができる「イベント」のひとつです。

自分のペットが台風が苦手なことがわかっていたら、しっかりと対策を行いましょう!

 

・なるべく普段通りに落ち着いて過ごす

雷が苦手な方もいると思いますが、飼い主が落ち着かずに騒いでいると、不安な気持ちはペットに伝わってしまいます。

なるべく普段通りに、なるべく落ち着いて!過ごしましょう。

台風だからといって特別に優しくすると、それを学習してしまうこともあるので、普段通りでよいです。

 

・テレビなどをかけっぱなしにする

犬や猫は私たちより耳などの感覚が敏感です。

雨や風の音が大きい場合は、外の様子が気になって落ち着かなくなってしまいます。

音をまぎらわせるために、テレビなど音の出るものをかけっぱなしにすると良いでしょう。

犬猫を置いて外出する場合も、同じようにしてあげると安心します。

 

・家の中が安全か確認しておく(猫)

猫の場合は、ベッドの下や棚の奥などに、怖がって隠れることがあります。

高いところに登りたがる子もいるかもしれません。

それにともない、物が倒れたり、落ちたりしないように、猫が逃げそうな場所を事前にチェックしておくのもよいでしょう。

安心できるように、段ボールなどを置いておいてあげるのもいいですね。

 

・普段から家の中でトイレができるようにしておく(犬)

犬の場合は、普段から家の中でもおトイレができるよう、トレーニングしておくとよりよいでしょう。

外でしかおトイレができない場合、どんな強風、大雨でも散歩にいく必要があり、危険です。

トイレトレーニングは、子犬の時からしておくと良いですが、成犬になってからでもトレーニングができないわけではありません。

お困りの場合は、ぜひご相談ください。

プロのドッグトレーナーによる個別のマナーレッスンにて、しっかり対応させていただきます。

 

 

3. 台風に備えて、事前に病院を受診するのもあり!

 

台風などのイベントごとに体調を崩してしまう子の場合、事前に動物病院を受診して、抗不安薬やサプリを処方してもらう、という手もあります!

事前に飲ませることで不安を和らげるサプリ(ジルケーン)や、日常的に飲んでおくことによってストレス性の消化器症状を軽減するサプリ(カーミングケア)などがあります。

一度体調が崩してからよりも、事前にできる対策をとってイベントに挑んだ方が安心ですよね。

是非一度、ご相談ください! 

 

 

4. まとめ:ストレス耐性はひとそれぞれ

 

「台風くらいで体調を崩すなんて」と驚かれた方もいるかもしれません。

ただ、人も同じことが言えますが、ストレス耐性はひとそれぞれなんです。

来客があってもおでかけしても台風でもぜーんぜん平気!という子から、少しの変化ですぐに下痢をしてしまいそのたびに部屋がぐちゃぐちゃになってしまって飼い主さんを困らせてしまう子まで、いろんな子がいるんです。

ストレス耐性はコップ、ストレス源は水に例えられます。

生まれつき大きいコップを持っている子は、ストレスになるような事柄があってコップに水が溜まっても、コップは大きいので水はあふれず、なんの症状もでません。

コップが小さめの子は、少しのストレスで、すぐに水があふれてしまいます。

 

この心のコップのサイズは、生まれつきだとも言われています。

そしてストレス耐性は、お母さんのお腹の中にいるときに、お母さんにどれだけストレスがかかったかも影響すると言われています。

(保護した地域猫ちゃんで、とっても怖がりな子は、もしかしたら妊娠中のお母さんがお外で大変な思いをしたからなのかもしれません。

犬の場合は、ペットショップやブリーダーから購入することがほとんどだと思いますが、「その子がどんな環境で生まれたか」を確認してから購入するのはとても大切なことです。)

 

コップをあとから無理やり大きくすることはできませんが、入る水の量を事前に調整してあげることはできそうですよね。

そして、変化にいち早く気付くためには、普段の様子をしっかり見てあげることがなにより大切です。

 

台風が近づいていても、近づいていなくても、大切なペットの様子は、ふだんからよく観察してあげてくださいね!

 

IMG_8348.jpg◆執筆:大威優子(獣医師)

我が家のオグトくんは、「人生に一回でいいからシェルティを飼いたい」という私の希望で、ブリーダーさんから購入しました。

購入前にブリーダーさんの飼育環境を下見し、「ここで育った子なら」と購入を決めました。

そのおかげか、オグちゃんは一切押さえなくても注射を打たせてくれる、そしてからあげにお尻の毛を引っこ抜かれても一切怒らない、ひたすらジェントルで優しい男の子です!