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2025/12/19

冬は猫の尿トラブルが増える季節?膀胱炎・結石・尿道閉塞の危険サイン<冨板>|一宮市おおい動物病院

冬は猫の尿トラブルが増える季節?膀胱炎・結石・尿道閉塞の危険サイン<冨板>|一宮市おおい動物病院

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こんにちは!愛知県一宮市「おおい動物病院」の愛玩動物看護師、冨板です。
今回は、寒くなる時期にぐっと増える「猫ちゃんの尿トラブル」についてのお話です。

季節の変わり目、とくに秋から冬にかけては、猫ちゃんの体調や行動に変化が出やすい季節です。
抜け毛が増えたり、毛玉を吐きやすくなったり、「なんとなく元気がないかも…」と感じる方もいるのではないでしょうか。

実はこのタイミングで増えてくるのが、膀胱炎や尿路結石などの「泌尿器トラブル」です。
おおい動物病院でも、毎年冬になるとおしっこの異常で来院される猫ちゃんが増えたな、と感じています。

本コラムでは、
・なぜ寒くなると猫の尿トラブルが増えるのか?
・膀胱炎や結晶・結石といった基礎疾患にはどんなものがあるのか?
・合併症として最も危険な「尿道閉塞」とは?
・ご家庭で気づけるサインや予防のポイントは?
といった点を、わかりやすくお伝えしていきます!



目次

1. 冬に泌尿器トラブルが増える理由
2. 冬に増える「膀胱炎・結晶・結石」などの基礎疾患
3. 合併症として最も危険な「尿道閉塞」について
4. 自宅で気づける「危険サイン」
5. まとめ



1. 冬に泌尿器トラブルが増える理由

① 水を飲む量が減る

寒い時期は猫の活動量が落ち、飲水の頻度も自然と減りがちです。
さらに水が冷たいと「冷たい水はあまり飲みたくない…」と感じて、ますます飲水量が低下してしまうことも。

その結果、
・尿が濃くなる
・膀胱の粘膜が刺激されやすくなる
・結晶が形成されやすくなる
といった変化が起こります。

猫の尿は濃いほど、結晶(ストルバイトやシュウ酸カルシウム)ができやすくなります。
「冬に水を飲まない」は、尿トラブルの大きな要因のひとつなんです😰

② トイレに行く回数が減る

トイレが寒い部屋や廊下に置いてあると、猫はその場所に行くのを嫌がることがあります。
「寒いから、あとでいいや…」とトイレを後回しにしてしまうイメージです。

その結果、
・膀胱に長時間尿をためてしまう
・膀胱内で細菌が繁殖しやすくなる
・尿中の結晶が沈殿しやすくなる
といったリスクが高まります。

③ 体が冷える

猫は冷えに弱い動物です。
下腹部が冷えると血流が悪くなり、膀胱粘膜の免疫力が低下して炎症が起きやすい状態になります。

こたつや布団の中など、あたたかい場所にこもる時間が増えるのも冬ならでは。
ぬくぬくしているのは良いことですが、「あったかいところから動きたくない → 水を飲みに行かない」というパターンにつながることも、大いに考えられます。



2. 冬に増える「膀胱炎・結晶・結石」などの基礎疾患

寒い季節に増えやすい泌尿器疾患には、次のようなものがあります。
これらが悪化した結果として「尿道閉塞」が起こることもあります。

① 特発性膀胱炎(FIC)

原因がはっきりしない膀胱炎ですが、ストレスや環境要因が関与していると考えられています。

主な症状:
・頻回排尿
・血尿
・トイレで長くうずくまる
・排尿時に痛そうに鳴く

ストレスケアや生活環境の見直しが、とても大切な病気です。

② 細菌性膀胱炎

冬場や高齢の猫ちゃんに多いと言われています。
寒さや加齢などで免疫力が下がり、膀胱内で細菌が繁殖しやすくなることで起こります。

排尿時の痛みや頻尿、血尿などがみられることがあり、抗菌薬治療が必要になる場合もあります。

③ 結晶・結石(ストルバイト/シュウ酸カルシウム)

飲水不足で尿が濃くなると、結晶が作られやすくなります。
ストルバイトはアルカリ尿で、シュウ酸カルシウムは酸性尿で形成されます。

結晶が大きくなると結石となり、膀胱粘膜を傷つけたり、尿路を塞ぐ危険が高まります。
尿路ケア用フードへの変更や、場合によっては外科手術が必要になることもあります。



3. 合併症として最も危険な「尿道閉塞」について

特発性膀胱炎・細菌性膀胱炎・結晶や結石などが悪化すると、
オス猫では「尿道閉塞」という、命に関わる合併症を起こすことがあります。

尿道に結晶や粘液(プラグ)が詰まり、尿がほとんど出なくなってしまう状態です。

オス猫が半日〜1日排尿できていない場合は、かなり危険なサインです⚠️
すぐに動物病院を受診してください。

主な症状:
・トイレに何度も行くのに少ししか出ない
・まったく尿が出ていない
・お腹を触られるのを嫌がる
・ぐったりしている、元気がない

治療では、尿道カテーテルを用いて閉塞を解除し、点滴などで全身状態を整える必要があります。



4. 自宅で気づける「危険サイン」

次のようなサインがあれば、早めに病院へ相談してください。

● 危険度 高

・尿が出ていない(半日~1日排尿なしは危険!)
・トイレで叫ぶように鳴く
・血尿が出ている
・トイレにこもってなかなか出てこない
・トイレに何度も行くが少量しか出ない
・落ち着かずウロウロ歩き回る

特にオス猫の「少ししか出ない or 全く出ない」は非常に危険なサインです。
迷わず受診してください。

● 危険度 中

・いつもより尿の色が濃い
・トイレ以外での粗相が増えた
・排尿姿勢が長い
・出ている量が減ったように見える

多頭飼いのお家では、1匹1匹のおしっこを観察するのはなかなか大変だと思います。
排尿中の様子や普段の活動量、トイレに行く回数など、いろいろなポイントからチェックしていきましょう。



5. まとめ

冬の猫ちゃんの尿トラブルは、
・水をあまり飲まない
・寒さ
・ストレス
・活動量の低下
など、いくつかの要因が重なって起こります。

特発性膀胱炎・細菌性膀胱炎・結晶や結石といった基礎疾患が悪化すると、
合併症として命に関わる「尿道閉塞」を起こすこともあります。

毎日の観察で少しでも「いつもと違うな?」と感じたら、早めにご相談ください。
フードのご相談や生活環境のご相談だけでも大歓迎です!
寒い冬を飼い猫さんと一緒に元気に乗り越えられるよう、一緒にケアしていきましょう🍀

写真2.jpeg◆執筆:冨板くるみ(愛玩動物看護師)

最近は麻辣湯にハマっています。
近所にも麻辣湯のお店ができてくれたので、電車に乗らず気軽に行けるようになりハッピーです!